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04/07
2014

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“引き算”の仕事道

「日本力」という本をご存じだろうか
(先にもビジ達で紹介したのだが…)。
“知の巨人”松岡正剛氏と、日本を写し続ける写真家
エバレット・ブラウン氏との対談本であり、
いまを生きる日本人必読の一冊だ。
このなかで松岡氏は、日本には「引き算の美」があると語っている。

これは何かを“引く”ことで、
逆にそこに何かあることを感じさせるということ。
日本の精神を表す言葉としてよく耳にする「わびさび」もそう、
お客様に対してせっかくいらしていただいたのにご馳走もなく、
高価な茶器もないので申し訳ないというお詫びの「わび」と、
寂しい様子を表す「さび」と言うところから発生した言葉だ。

謙虚さの中に見出す美しさ…といったところだろうか。
私自身、「日本道」に着目していたせいもあって、
この「引き算の美」にすっかり共鳴感を抱いてしまった。

思い返せば子供の頃、
木々に囲まれた私道に散らばった落ち葉を祖母に命じられて掃いていた。
そしてふと振り返ると、掃き清めたばかりの庭に
ほんの一、二枚の落ち葉がすでに落ちているではないか。
その一、二枚の落ち葉が掃き清められた道をどんなに引き立てたことか。
私は、これも「引き算の美」だと思うのだ。

日本の伝統工芸品である漆器もそうだ。
聞くところによると、高級なものでは10回くらいは漆を塗り重ねるそうだ。
一度塗り、金粉や銀粉を蒔いてはまた重ねていく。
そしてすべて塗り終わってもまだ完成ではない。

せっかく重ねた漆を、今度は磨いていくのだ。
そうすることによって表面が光るだけではなく、下の地が浮き出てくる。
「引き算の美」というわけだ。

私たちのデザイン業界で言う「シンプルに」というのも同じこと。
余計なものをそぎ落とすことで、
重要なものがよりはっきり見えてくる。

私がコンサルタント業務の一環として行っている、
講演でも同様のことが言える。

その時「皆さんにお届けしたい!」
とパワーポイントでいっぱいいっぱいに資料を作っても、
実際に使うのは6割程度、参加者の顔を見ながら
より響く内容を優先していくのだ。

その方が参加者にもしっかり伝わり、
その後のビジネスに活かしてくれるということ。
そう、「引き算の美学」は仕事にも生きてくるのだ。

考えてみれば、何度も触れてきた老舗の仕事にも
「引き算の美学」が実に多い。

「虎屋」だって、作っている商品はたくさんあるが、
主力商品はこれ! と決まっている。
いまはマカロンだって作っていたりするのだけれど、
結局は羊羹なのだ。
羊羹しか作れないのじゃなく、色んなものが作れる中での羊羹なのだ。

これしかないのか、たくさんある中でそぎ落としてあえて「これ」なのか。
例えば仕事において最終的に同じ結論に至っていたとしても、
色々なスキルをもち、経験から人間力も磨き上げた人が
要らないものを差し引いて「これです! 」と示す場合がある。
しかし経験の少ない人がほとんどシュミレーションもせずに提出する場合もある。
当然お客様の反応も違うだろう。

引き算が出来るようになって、より仕事が深まるのだ。
仕事道を極めようと思うなら、キーワードは「引き算の美学」。
これを忘れてはいけない。

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